音楽レッスンをしている方のマンションを防音工事を手伝いました。

部屋を防音する場合、何処へ音が漏れないようにするかをまずは考えます。上の階へはそんなに気にする必要はないかもしれません。壁は必ず処理をしなければいけません。下の階へは主に低音が響き渡りやすいので、低音をカットするための素材を使用します。

床面に吸音マットや防振マットを敷きます。低音の響きは波形が大きいので、結局は分厚くして、振動をなくす以外には方法がありません。場合によっては建物の構造を強化しなければどうしようもない場合もあります。ドラムの音、ベースの低い音、またリズムを刻む時の足音、楽器を弾く時の叩く音もこれにあたります。

壁の場合は、低音と、中域の両方をカットしますので、吸音版やウレタンスポンジを使用します。それから、グラスウールやロックウールといった素材を使います。人の声や楽器の音などをカットするための中域を意識して使います。

さて、防音に主眼を置きましたが、吸音という考え方もあります。防音は音が外に出るのをシャットアウトすることに対して、吸音は音が室内で反射しないようにするための措置です。スピーカーから出た音が部屋で反射してしまうと、正しいミックスはできません。音が回ってしまい、どれが本来の音がわからなくなります。

また、録音の際にも注意が必要です。楽器から出た音がマイクに録音される際に、部屋で反響してしまった音がマイクに録音されてしまうので、できればこれも吸音してしまいたいところです。

もちろん、良質なスタジオその反響も計算されていて、すばらしい響きがあるのですが、個人のスタジオではそこまでの設計は難しいので、余計な反響はカットしてしまうのがベターだと思います。

ここまで、ネットやホームセンターなどで資材を購入し、自分で工事することもある程度できます。業者に発注した場合数十万かかるところ、数万円の材料代だけであるていど防音が期待できます。

ただし、防音のためのマットやシートは振動を抑えるために金属が編み込んであったりと、とても重いので、天井付近に貼り付ける場合は相当な筋力を使うことを付け加えておきます。