MTR

現代はレコーディングをするにも制作を行うにも、まずはWindowsやMacなどのパソコンがないと始まりません。いまはiPadなどのタブレット、もっといえばiPhoneなどのスマートフォンでもアプリを駆使すればレコーディングや音楽制作が可能な時代になってきています。しかし、MTRも根強い需要があるようです。

入力端子が揃ったミキサーとインターフェイス部分、音声をデジタル化するコンバーター、音声を実際に記録するハードディスクなどの媒体。これが一体化しているのがMTRということになります。これが一台あればパソコン、モニター、オーディオインターフェイス、DAWなどのレコーディングソフト、ミキサー、エフェクターは必要ありません。

こうなると今の時代にこういったものが必要なのは、やはりライブハウスなどでリアルタイムに一発録音する現場でしょう。バランスよくスペックが設定されているので、パソコンのようにフリーズすることはあまりないと考えられます。そういった一体型の堅牢さも現場向けといえます。

しかしこういった製品を必要とする場合が他にもあります。私の知る範囲でもパソコンが苦手なミュージシャンは結構いらっしゃいます。ずっとガラケーだったがようやくスマートホンに変えた、などデジタル機器を苦手に感じている方は多いようです。

MTRももちろんデジタル機器ではあるのですが、パソコンを使わないで済む、ということはそういったハードルをかなり下げているようです。それだけではなく、実際にこういったシステムを組むと、必ずどこかに不具合が出てくるものです。ミキサーに問題がなくてもハードディスクにエラーが出てしまったり、内部のバグによってうまく動作しなくなったり。

そういった際に、どこに問題があるかトラブルシューティングするのは、ある程度の知識がないとまずかしいものです。最低限操作はできても、こういったトラブル対策は難しい、といった方も多いのではないでしょうか。一体型であれば極力そういう対処が少なくて済む、というのも大きなメリットかと思います。

さてそれはMTR全体の特徴ですが、本製品の特色を見ていきたいと思います。

こちらの製品はグレードが3タイプあり、大きな違いは入力のトラック数です。12トラック、16トラック、24トラックと3タイプで、基本的に録音トラックと入力チャンネルは連動しています。数百〜メモリが許す限りトラックを無限に追加することができるパソコンを使ったDAWに比べると、トラック数はかなり絞られている印象です。

また、Model24を例にあげると実際の入力チャンネルは22トラックと2トラック減ります。
どういうことかと調べると、24チャンネルあるうち、2トラックは他の22チャンネルを2ミックスにまとめた2チャンネルが記録されるようです。ちょっと何のためそういった仕様になっているか分かりません。

マイクプリアンプは16チャンネル分用意されているので、マイク入力は同時に16チャンネルまでと考えて、のこりはライン入力用と考えたらいいかと思います。

MTRという位置付けですが、USB接続のオーディオインターフェイスとしても使用できます。小売店のレビューを見たところ、概ね評判は良いようですが、内臓エフェクターに満足していない人もいるようです。

以下はスペックの抜粋です。

Model 24は、マルチトラックレコーダー、ミキサー、オーディオインターフェースとして、ライブ、リハーサル、レコーディングなどのあらゆる場面で柔軟に対応する、新たなレコーディングソリューションであり、ミュージシャンやエンジニアなどの多様なニーズに対応します。
■直感的な操作性を実現するシンプルデザイン
■TASCAMの先進的な録音技術
■フレキシブルな接続
■高い耐久性

■直感的な操作性を実現するシンプルデザイン
正確な音量調整を可能とする100mmフェーダー、親しみやすいEQとAUXノブ、自然なコンプレッション実現する1ノブコンプレッサーなど、アナログコンソールならではのシンプルかつクラシカルなデザインが、直感的な操作性を提供します。

■TASCAMの先進的な録音技術
Model 24はTASCAMが長年培ってきた録音技術を惜しみなく投入したマルチトラックレコーディングエンジンを搭載し、SDカードへの24トラック同時録音、22トラック同時再生、さらに8トラックの同時パンチイン/アウト機能を実現。また、TASCAMが誇るスタジオクオリティの16チャンネルマイクプリアンプを搭載し高品質でクリアな音を収録可能です。

■フレキシブルな接続
20バランス入力(12モノラルと4ステレオ)と1アンバランスステレオ入力から構成された22チャンネルのアナログ入力を装備。アンバランスステレオ入力ではBluetooth?レシーバーを搭載していますので、スマートホンなどのモバイル機器を接続しBGM再生が可能です。また、22チャンネルのUSBオーディオインターフェース機能を備えており、お使いのDAWに直接マルチトラック録音することも可能です。

■耐久性と信頼性
軽量で可搬性に優れ、スタジオやライブ会場など様々な現場への持ち運びが可能。プロの現場で長い間信頼されているTASCAMが誇る高い耐久性は、いつでもどこでも変わらぬ安定した作業環境を提供します。

■Record
Model 24には、TASCAMが長年培ってきた録音技術を惜しみなく投入したマルチトラックレコーディングエンジンが搭載されています。合計24トラックの同時録音、22トラックの同時再生、さらには8トラック同時パンチイン/アウト機能を搭載。ライブコンサート、リハーサル、レコーディングなど様々な環境において活躍します。

■Mix
22チャンネルのアナログ入力を持ち、様々な現場のニーズに対応可能です。スタジオクオリティーのマイクプリアンプ、自然なコンプレッションを実現する1ノブコンプレッサー、幅広い音作りを実現する3バンドイコライザー、音量の微調整を可能とする100mmフェーダーなど操作性に配慮してデザインされたコントロール部は、正確で迅速なミキシングを実現します。 直感的に操作可能な設計により、複雑なメニュー操作やプリセットを探す手間を省くことで、ステージやスタジオなどにおいて、容易に高品質なアナログサウンドと操作性の高いミキシング環境を提供します。

■Connect
低レイテンシーでASIOへ対応したUSBオーディオインターフェースエンジンを搭載し、お使いのDAWへのマルチトラック録音が可能。また、ミキシング・再生・録音など、用途に応じてワンタッチで入力ソースの選択を可能とするMODEスイッチが搭載されているため、面倒なケーブルのつなぎ直しやレベルの再設定を行うことなく、スムースな作業が実現します。

■Channel Surfing
・チャンネル1-2は、XLR入力端子とTRS入力端子、インサート入出力端子を装備。さらに、プリアンプゲインコントローラー(シグナル/オーバーロードLED搭載)、100Hzローカットスイッチやハイインピーダンス(Hi-Z)入力にも対応可能なライン/インスト切り替えスイッチも備えています。

・MODEスイッチは、各入力ソースの切替えの際に使用します。LIVEモードは各アナログ入力部からの信号をPCモードはDAWからの信号を、MTRモードはSDカードからの再生信号を入力します。

・MODEスイッチの直下には、ライブ中でも即座に調整できる1ノブ・コンプレッサーを搭載。さらには、ボーカルやギターでの音作りを支援する3バンドセミパラメトリックEQ(中域周波数可変型)も装備しています。(1~12チャンネル)

・3つのAUXセンドノブ(Mon1、Mon2、FX)があり、外部モニターやエフェクトなどへの出力が可能です。

・100mmのフェーダーセクション上部にはPANノブ、RECボタンおよびMUTEボタンを配置。また、すべての入力チャンネルにメインミックス、サブグループ、PFLへのアサインスイッチが装備されています。

※ライン/インスト切り替えスイッチは1~2チャンネルのみ装備。
※1ノブコンプレッサー、3バンドセミパラメトリックEQは1~12チャンネルまで装備。

・21/22chはモバイル機器などの入力に適したステレオRCA入力や3.5 mmステレオミニ入力、またはBluetooth接続も可能。また、AUXセンドでMon1やMon2にも出力できます。

■Master and Commander
Model 24 のマスターセクションには、入力チャンネル同様にメインミックス、モニター、サブミックスなどの出力を操作する100mmフェーダーを装備し、ミュートやアサインスイッチも備えています。マスターセクション上段にはTASCAM PORTASTUDIOシリーズで好評を博したデジタルエフェクターが搭載されており、リバーブやディレイ、コーラス、フランジャーなど、各種用途に応じて使いやすい16種類のプリセットを用意しました。更には、MTR機能を操作するコントロールパネルや、メイン/モニターへのアサイン切り替えが可能な7バンドグラフィックEQが装備されています。アナログ出力パネルには、メイン・サブ・モニターなどの外部出力端子やヘッドホン、フットスイッチ端子が装備されています。

■Make Tracks
TASCAMの録音技術を惜しみなく投入したMTR機能は、直感的で操作性に優れ、録音した音源は個々のトラック(モノラルWAVファイル)としてSDカードに保存できる他、Model 24本体でミックスダウンすることが可能です。また、録音したWAVファイルをお使いのDAWにインポートして編集やマスタリングをすることも可能です。

■Live and Let DAW
スタジオクオリティーのマイクプリアンプを搭載していることで、MTRとしての機能にとどまらず高品位なUSBオーディオインターフェースとしてもお使いいただけます。DAWへ24チャンネルの同時録音が可能となるため、SDカードへの録音に加えDAWでのバックアップ録音を実現します。
また、DAWからの22チャンネルの同時再生にも対応していますので、アナログによるハードウエアミックスも可能です。